はじめに
ネットで簡単に海外の医薬品が買える時代。中でも、発毛成分である「ミノキシジル」や「フィナステリド」などを個人輸入で購入する人が増えています。しかし、便利さの裏には深刻なリスクが潜んでいることをご存知でしょうか?
この記事では、厚生労働省の公式情報に基づき、医薬品の個人輸入における危険性と、守るべきルールを分かりやすく解説します。
個人輸入とは?自己責任で行う「私的利用」に限られる
まず前提として、医薬品の個人輸入は 「自己使用目的に限り合法」 とされています。つまり、「自分が飲む分だけならOK」ということです。
ただし、それには厳密な条件があります。
- 他人への譲渡・販売は禁止(薬機法違反)
- 処方薬は原則、1か月分まで
- 外用薬(塗り薬・育毛剤)は2か月分まで
- 数量や種類により「輸入確認証」の取得が必要
▶ 出典:厚生労働省|個人輸入に関する情報
厚生労働省が警告する「個人輸入5つのリスク」
偽造品・粗悪品のリスク
個人輸入品には、外見は本物でも成分が偽装されている「偽造薬」が多く含まれています。服用による健康被害の報告も多数あり、命に関わるケースも。
成分・用量が日本基準と異なる
海外の薬は、日本で承認されていない成分や、過剰な濃度が含まれていることがあります。たとえばミノキシジル10%製品などは、国内未承認です。
副作用の発生時に救済制度が使えない
厚労省の「医薬品副作用被害救済制度」は、国内で認可された薬に限り適用されます。個人輸入薬で健康被害が出ても、補償を受けられません。
税関で没収される可能性
輸入数量や内容に不備があると、通関で薬が没収されることがあります。没収された場合、金銭的補償は一切ありません。
薬機法違反による刑事罰の可能性
自己使用を超える数量の輸入や、第三者への販売・譲渡は明確に違法です。過去にはメルカリやSNSで販売して逮捕された事例もあります。
実際にあった逮捕事例(抜粋)
- 看護師が個人輸入薬をフリマアプリで販売 → 薬機法違反で逮捕
- 未承認ED薬をまとめ買いし、友人に譲渡 → 薬機法違反で書類送検
薬の「個人輸入」は合法でも、「個人輸入品を他人に渡すこと」は違法です。
安心して使うための選択肢
本当に安心して治療を進めたいなら、以下のような選択肢を検討しましょう:
- 国内承認済みの薬を使う
- 医師に処方してもらう
- 国内正規販売サイトやクリニックを利用する
厚生労働省も「医師の診断・処方のもと、安全な医薬品を使用することが最も安全」と明記しています。
まとめ:安さより「命と健康の安心」を選んで
個人輸入は確かに安く、手軽かもしれません。しかし、その代わりに背負うリスクは決して軽くありません。厚生労働省の情報を踏まえ、自己責任の重さと向き合い、正しい判断をすることが何より大切です。